【2026年度】長崎県のAI研修に使える補助金を、実際の要件から読み解く
2026-08-26 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)
「AI研修をやりたいが、費用をどう見るか」という相談を長崎県内の企業からいただくことが増えました。
結論から言うと、長崎県には「講座の受講料そのもの」を補助対象にしている制度が2つあります。しかもどちらも補助率3分の2・上限100万円で、締切が同じ令和8年9月30日です。この記事では、その2つを中心に、公式ページに書かれている要件から整理します。
なお、当社は補助金の申請代行を行っていません。以下は制度を読んだ内容の整理であり、採択を保証するものではありません。最終的な可否は各制度の窓口にご確認ください。
1. 長崎県デジタル力向上支援事業費補助金
長崎県(経営支援課)が実施している制度です。
- 補助率:3分の2以内
- 上限額:100万円以内(1万円未満切捨)
- 締切:令和8年9月30日(水)当日消印有効
- 対象:県内に主たる事業所等を置き、創業後1年以上事業を営む中小企業・小規模事業者等(みなし大企業を除く)
この制度で注目すべきなのは、対象経費の構成です。
対象経費は「人材育成費」と「導入費」の2つに分かれていて、人材育成費(デジタル講座の受講経費)が必須とされています。つまり「ツールだけ買って終わり」は認められず、人が学ぶことがセットで求められている制度です。
さらに、人材育成費の総額が5万円未満の場合は上限が50万円に下がります。研修にきちんと予算を割いた企業のほうが、上限が高くなる設計になっているということです。
申請で気をつける2点
ひとつは、認定経営革新等支援機関またはITコーディネータからのアドバイスを受けたうえで申請書を作成する必要があること。思い立ってすぐ出せる制度ではありません。
もうひとつは、郵送と電子メールの両方での提出が必須であること。どちらか一方では受け付けられません。
公式ページ:https://www.pref.nagasaki.jp/doc/page-721123.html
2. 長崎市伴走型DX化支援補助金
長崎市(新産業推進課)の制度です。長崎市内に本社がある企業が対象になります。
- 補助率:3分の2
- 上限額:100万円
- 受付期間:令和8年6月1日〜9月30日(予算がなくなり次第、早期終了)
こちらの対象経費は、旅費、謝礼金、受講料、会場借上料、消耗品費、使用料、委託料、役務費など。
そして重要なのが、**「DX推進におけるシステムや機器の導入にかかる経費は対象外」**と明記されている点です。
つまりこの制度は、モノではなく人に使う制度です。パソコンやソフトを買うためではなく、社員が学ぶため、外部の人に来てもらうために設計されています。AI研修とは相性のいい制度と言えます。
公式ページ:https://www.city.nagasaki.lg.jp/page/83459.html
3. 国の人材開発支援助成金
長崎県内の企業も当然使えます。窓口は長崎労働局 職業安定部 職業対策課(長崎市万才町7-1 TBM長崎ビル)です。
この制度で一番多い失敗は、研修が終わってから相談に来ることです。人材開発支援助成金は訓練を始める前に計画届を出す必要があるため、日程を決めてから動くと間に合いません。
研修の実施を検討し始めた段階で、一度労働局に電話しておくことをおすすめします。
公式ページ:https://jsite.mhlw.go.jp/nagasaki-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/kakushu_joseikin.html
4. 佐世保市の企業なら、共同開催という手がある
佐世保市の「中小企業等人材育成支援事業補助金」には、少し変わった設計があります。
研修会等開催事業の上限額が、1社で実施すると10万円、2社以上で共同実施すると30万円になるのです。
同業者や取引先と一緒にAI研修を開けば、補助の上限が3倍になります。人数が集まるぶん一人あたりの単価も下がるので、二重に効きます。佐世保市内で「うちだけだと人数が集まらない」という企業には、この形をおすすめしています。
公式ページ:https://www.city.sasebo.lg.jp/keizai/syouko/jinzaikuse.html
5. 相談だけなら、無料の窓口があります
制度の話に入る前に「そもそも何から手をつけるか」を相談したい場合、長崎県内にはいくつか窓口があります。
- 長崎県中小企業団体中央会:長崎大学と連携した「データ活用人材育成講座」や生成AI活用セミナーを実施しています
- 公益財団法人 ながさき地域政策研究所:県の「県内中小企業DX促進事業」のDX啓発セミナー窓口です
- 長崎県産業・雇用施策活用推進センター(0120-318-541):国や県の支援制度の使い方を案内しています
県は毎年、県内7か所(佐世保・平戸・新上五島・五島・島原・諫早・長崎)で産業支援制度説明会も開いています。
まとめ:長崎は「人に使う制度」が揃っている県
補助金というと設備投資のイメージが強いのですが、長崎県と長崎市の制度は、どちらも人が学ぶことを正面から対象にしています。長崎市に至っては、機器の導入をはっきり対象外にしているほどです。
これは、長崎県の状況を考えると理にかなっています。県内の情報通信業は382事業所しかなく(令和3年経済センサス)、人口は5年で6.1%減りました(令和7年国勢調査速報)。有効求人倍率は62か月連続で1.0倍台です。
IT人材を採用で確保するのが難しいなら、いまいる人ができるようになるしかない。 制度の設計は、その現実を映していると感じます。
※本記事の制度内容は2026年8月26日時点で各公式ページに掲載されていた内容です。要件・金額・期限は変更されることがありますので、申請前に必ずリンク先の公式ページでご確認ください。当社は申請代行を行っておりません。研修内容が要件に合うかどうかのご相談には対応しています。