長崎で生成AI講座を受けるには|独学・公的講座・民間講座の違いと選び方
2026-08-26 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)
「生成AIを学びたいが、長崎でどこに行けばいいのか」というご相談が増えました。
ChatGPTのようなAIは、使い方の情報そのものはインターネット上にいくらでもあります。それでも講座を探す方が多いのは、情報が足りないのではなく、「自社の仕事に当てはめる部分」が独学では埋まらないからです。
この記事では、長崎で生成AIを学ぶ方法を3つに分けて比較し、それぞれどんな人に向いているかを整理します。あわせて、学んだあと社内にどう広げるかまで書きます。
前提:長崎では「聞ける人が社内にいない」ところから始まる
学び方の話に入る前に、長崎県の状況を1つだけ確認させてください。
長崎県内の情報通信業は382事業所です。 これは全国の情報通信業のわずか0.5%、県内の全産業に占める割合でも0.7%にすぎません(令和3年経済センサス-活動調査速報/長崎県統計課)。同じ資料では、県内に本社がある企業等は42,647、民営事業所数は62,461とされています。
数字が意味しているのはシンプルなことです。県内の企業の圧倒的多数には、社内にIT専門の人がいません。
これは東京や福岡の企業とは前提が違うということです。都市部の記事や動画は「情シスに聞いてください」「エンジニアと相談して」を当たり前の前提にしていますが、長崎の中小企業では、その相手がそもそもいません。
したがって長崎で生成AIを学ぶときは、次の2つが条件になります。
- 専門用語を専門用語のまま説明されないこと
- 分からなくなったときに聞ける相手が、講座の外にも残ること
この2つを軸に、3つの学び方を見ていきます。
学び方1:独学(無料・自分のペース)
まずは独学です。ChatGPTなどの生成AIは無料版でも使えますし、使い方の解説は書籍・動画・記事の形で大量に出回っています。
向いている人
- すでに自分でパソコンのトラブルを調べて解決した経験がある方
- とりあえず触ってみて、面白いかどうかを自分で判断したい方
- 経営者ご自身が、投資判断の前に手触りを確かめたい場合
独学の限界が出るところ
独学で止まりやすいのは、決まって次の3か所です。
- 「何に使えるか」が思いつかない — 使い方は分かったが、自社のどの仕事に当てはめるかが出てこない
- 精度が上がらない — AIの答えが期待外れだったとき、指示の出し方が悪いのか、AIの限界なのかを切り分けられない
- 社内に広がらない — 自分は使えるようになったが、他の社員に説明できない
1つ目と3つ目は、情報量ではなく視点の問題なので、記事や動画をいくら足しても埋まりません。ここで止まっている方が、講座を探し始めるという流れが一般的です。
独学を始めるなら
もし今日から独学で始めるなら、おすすめは「新しいことをAIにやらせる」のではなく、今週すでにやった仕事をもう一度AIにやらせてみることです。先週書いたメール、先月作った報告書。答え合わせができる題材だと、AIの実力と自分の指示の質が同時に分かります。
学び方2:公的機関の講座(無料〜低額・信頼性が高い)
長崎県内には、公的な位置づけで生成AIやデータ活用を扱う講座があります。
代表的なのは、長崎県中小企業団体中央会が長崎大学と連携して開いている「データ活用人材育成講座」と、同会が開催している生成AI活用セミナーです。また、長崎県の「県内中小企業DX促進事業」では、経営層向けの講演会と、リーダー層向けのハンズオンという2種類のDX啓発セミナーが用意されており、問い合わせ窓口は公益財団法人 ながさき地域政策研究所です。
向いている人
- 費用をかけずに、まず信頼できる情報から入りたい方
- 自社が特殊なケースなのか、よくあるケースなのかを知りたい方(他の県内企業の参加者と同じ場にいることで分かります)
- 経営層として、全体像と判断材料を得たい方
公的講座の性格を理解しておく
公的な講座は、税や公的な財源で運営されている以上、特定の1社の事情に深く踏み込むことは構造的にできません。参加企業の業種もばらばらです。したがって内容は「多くの企業に共通する部分」に寄ります。
これは弱点ではなく設計です。全体像をつかむ用途では、むしろこの中立性が価値になります。 一方で「うちの見積書のフォーマットで」「うちの介護記録の様式で」といった話をしたい段階になると、公的講座だけでは足りなくなります。
なお、公的機関の講座は開催時期が限られます。県内7か所(佐世保・平戸・新上五島・五島・島原・諫早・長崎)で開かれる産業支援制度説明会など、長崎県産業・雇用施策活用推進センター(0120-318-541)の情報とあわせて、定期的に確認しておくことをおすすめします。
学び方3:民間の講座(有料・自社に合わせられる)
3つ目が、当社を含む民間事業者による企業向けの講座です。
向いている人
- 時期を自社の都合で決めたい方(公的講座の開催を待てない)
- 自社の実際の業務を題材にしたい方
- 社員をまとめて底上げしたい方(1人だけ学んでも社内が動かない、という段階)
見極めのポイント
有料である以上、選ぶ基準ははっきりさせておくべきです。当社が申し込み前に確認をおすすめしているのは次の3点です。
| 確認すること | なぜ重要か | |---|---| | 自社の実物(書類・メール・データ)を題材にできるか | 一般例で練習しても、自社の仕事には移りません | | 使った指示文(プロンプト)をもらえるか | 手元に残らないと、翌週には再現できません | | 終わったあと質問できる窓口があるか | 県内企業には社内に聞ける人がいないためです |
特に3つ目です。 前述の通り、長崎県内の大半の企業には社内にIT担当がいません。講座が終わった瞬間に質問先がなくなる形式は、この地域では効果が続きにくい構造になっています。
3つの学び方の比較
| | 独学 | 公的機関の講座 | 民間の講座 | |---|---|---|---| | 費用 | ほぼ無料 | 無料〜低額 | 有料 | | 時期 | いつでも | 開催時期による | 自社の都合で決められる | | 内容の合わせ込み | 自分次第 | 一般的な内容が中心 | 自社の業務に合わせられる | | 全体像の把握 | 断片的になりやすい | 得やすい | 得やすい | | 社内展開 | 難しい | 参加人数に制限がある場合も | まとめて受講できる | | 向いている段階 | 触ってみたい | 判断材料がほしい | 業務を変えたい |
この3つは、対立するものではなく順番です。 経営者が独学で触ってみて、公的講座で全体像と他社の状況を知り、方針が決まったところで民間講座で社員をまとめて底上げする。この順で進めるのが、費用の面でも納得感の面でも無理がありません。
講座で身につくこと(当社の場合)
参考までに、当社の生成AI講座(3時間)でお伝えしている内容の構成を示します。「生成AIの講座で何を扱うのか」の目安としてご覧ください。
- 基礎理解(30分) — 生成AIの仕組みをやさしく解説。ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotの得意分野と使い分け。そして機密情報の取り扱いルール
- 業務効率化のハンズオン(60分) — メール返信、議事録づくり、Excelの関数、見積書のたたき台、PDFや手書き文字の読み取り
- 部門別の実践ワークショップ(60分) — 営業/総務・経理/企画・広報に分かれ、それぞれの実務で使う形に落とす
- まとめと実践計画(30分) — 自社業務での活用アイデアを出し、プロンプト集を配布
「セキュリティを最初に扱う」理由
上の構成で、第1部にセキュリティの話が入っている点に触れておきます。
生成AIを社内で広げるとき、もっとも多く止まる原因は技術ではなく「怖いから禁止」です。 ここを最初に扱わないと、講座で盛り上がっても、翌週に「情報が漏れたらどうする」の一言で全部止まります。何を入力してよくて何がだめか、どの設定にしておけばよいかを先に決めてしまうのが結局は近道です。
学んだあと、社内にどう広げるか
講座を受けただけでは会社は変わりません。ここが最も大事な部分です。当社が県内企業にお伝えしている進め方は次の4段階です。
1. 最初の1か月は「1業務だけ」に絞る
多くの企業が失敗するのは、全部門で一斉に始めようとするからです。まず1つの業務、できれば毎週必ず発生する定型の文書仕事を1つだけ選んでください。 議事録、日報、案内メールの雛形あたりが典型です。
2. 「うまくいった指示文」を共有フォルダに貯める
生成AIの成果は、指示の出し方でほぼ決まります。誰かがうまく書けた指示文を、そのままコピーして使える場所に置いてください。社内の資産になるのはAIそのものではなく、この指示文の蓄積です。
3. 推進役を1人決める(兼任でかまいません)
質問の受け皿を社内に1人つくります。専門知識は不要です。「詳しい人」ではなく「一番たくさん使っている人」で構いません。県内企業にはIT担当がいないことが多いため、この役割を明示的に決めておかないと、質問が空中に消えます。
4. 3か月目に、対象業務を2つ目に広げる
1つ目が定着してから2つ目です。順番を守るほうが、結果的に速く進みます。
この4段階のうち、3番目の「推進役を育てる」ところを外部から伴走する形として、当社では**AI顧問(週1回90分×6ヶ月・月額33万円/税別)**というサービスもご用意しています。講座で全社の底上げをしてから、推進役の育成に進む、という流れです。
受講方法と費用について
当社の生成AI講座の実施条件は次の通りです。
- 開催方法:オンライン開催が基本です。対面をご希望の場合は長崎県内へ出張します(離島を含む県内21市町に対応。出張費は実費を事前にお見積りします)
- 料金(税込):10名まで165,000円/11〜50名 220,000円/51名以上 275,000円
- 時間:3時間(内容・時間配分は御社の課題に合わせて調整可能)
- 必要なもの:Wi-Fi環境と、参加者各自のパソコンまたはスマートフォン
- 実績:生成AI研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上
なお、講座の受講料については、長崎県や長崎市の補助制度が使える可能性があります。制度の要件は別記事で公式ページの内容から整理していますので、費用面が気になる場合はそちらもご覧ください。
まとめ
- 長崎県の情報通信業は382事業所(県内全産業の0.7%)。社内にIT担当がいない前提で学び方を選ぶ必要があります
- 独学・公的講座・民間講座は対立ではなく順番。触る→全体像をつかむ→自社に合わせる、の流れが無理がありません
- 民間講座を選ぶなら、自社の実物を題材にできるか/指示文が手元に残るか/後から質問できるかの3点を確認してください
- 学んだあとは1業務に絞る → 指示文を貯める → 推進役を決める → 2つ目へ広げるの順で社内に展開してください
※本記事の制度内容は2026年8月26日時点で各公式ページに掲載されていた内容です。要件・金額・期限は変更されることがありますので、申請前に必ず公式ページでご確認ください。当社は補助金の申請代行を行っておりません。