人口が5年で6.1%減った長崎県で、企業がAIに任せるべき仕事とは

2026-08-26 執筆: 今長 学(Exist Japan株式会社 代表取締役)

長崎県の人口は、令和7年国勢調査の速報値で 1,232,190人。5年前と比べて 6.1%減 りました。全国平均の減少率は2.5%ですから、長崎県は全国のおよそ2.4倍の速さで人が減っていることになります(総務省統計局 令和7年国勢調査 人口速報集計結果)。

その一方で、有効求人倍率は62か月連続で1.0倍台(令和8年4月時点・1.02倍)が続いています(長崎労働局 長崎の雇用失業情勢)。5年以上にわたって「求人のほうが求職者より多い」状態が続いているということです。

この2つの数字が同時に成り立っているとき、企業が取れる打ち手は限られます。この記事では、その現実を前提に、長崎の企業が最初にAIへ任せるべき仕事を業種別に具体的に示します。

前提:採用で埋める作戦は、県全体としてはもう成立しない

まず、冷静に構造を確認します。

人口が5年で6.1%減っている県で、有効求人倍率が62か月連続1.0倍台。これは「募集をかければ来る」状態ではありません。個別企業が採用を頑張ることは可能ですが、県全体で見れば、それは別の会社から人を移動させているだけです。 県内の人手不足の総量は、採用努力では減りません。

さらに、専門人材の採用となるとハードルが上がります。県内の情報通信業は382事業所しかなく、全国の0.5%、県内全産業でも0.7%にとどまります(令和3年経済センサス-活動調査速報/長崎県統計課)。「ITに強い人を採る」という選択肢そのものが、この県では母数の面で厳しいということです。

残る打ち手は2つしかありません。

  1. 今の仕事の総量を減らす
  2. 今いる人ができることを増やす

生成AIは、この両方に同時に効きます。だからこそ長崎では、都市部以上に投資対効果が出やすいと当社は考えています。

何をAIに任せるべきか、の判断基準

業種別の話に入る前に、選び方の原則を1つだけ。

AIに最初に任せるべきなのは、「文章を書く仕事」のうち、毎週必ず発生し、しかも中身が毎回少しずつ違うものです。

理由は3つあります。

  • 毎週発生する → 効果が積み上がる(月1回の仕事を半分にしても実感がありません)
  • 文章である → 生成AIが最も得意な領域で、専用システムの開発が要りません
  • 毎回少しずつ違う → だからこそ今まで自動化できず、人が手で書いていた領域だからです

逆に、「数字を正確に転記する」「毎回まったく同じ処理をする」といった仕事は、AIより既存の業務ソフトのほうが向いています。ここを取り違えると、高いものを買って効果が出ません。

業種別:最初に任せる仕事

長崎県の産業構造にそって、事業所数・従業者数の多い順に具体化します。

卸売業・小売業(15,288事業所/県内最多)

県内でもっとも事業所が多い業種で、15,288事業所・県内全産業の26.4%。従業者数も106,727人と県内2番目です(令和3年経済センサス)。

最初に任せる仕事:商品説明文・POP・チラシの原稿

理由は、成果がその日のうちに目に見えるからです。商品名と特徴を箇条書きで渡すだけで、POPの文案が何パターンも出てきます。パソコンが得意でない方でも、初日から手が動くのがこの領域の強みです。

次の段階としては、仕入先への定型メール、クレーム対応の返信文の下書き、そして売上データを貼り付けて「先月と何が違うか」を要約させる使い方があります。

医療・福祉(従業者112,701人/県内最多)

従業者数が112,701人で県内トップ、全産業の21.4%。事業所数も6,065と3番目に多い業種です(令和3年経済センサス)。人手不足の影響を最も強く受ける業種でもあります。

最初に任せる仕事:記録・報告書・申し送りの整形

この業種は文章仕事の量が多く、しかも書く人によって粒度がばらつくという特有の問題があります。ベテランは要点だけ、新人は事実を並べるだけ、といった具合です。

AIに「この形式でまとめて」と型を渡すと、記録にかかる時間そのものが減り、同時に粒度もそろいます。 加えて、求人票の作成、研修資料づくり、ご家族向けのお便りづくりにも効きます。

なお、この業種では個人情報の扱いが最重要です。何を入力してよくて何がだめかを、使い始める前に社内ルールとして決めておいてください。 ここを曖昧にしたまま始めると、後から全面禁止になります。

造船・海洋(県の基幹産業)

長崎県の基幹産業です。県と長崎労働局の公式文書によれば、大手は艦艇の受注が増加し、中小でも新船代替需要などで安定した受注量を確保、修繕需要も拡大しているとされています。航空機・洋上風力発電も成長分野として挙げられています。

最初に任せる仕事:長い技術文書の読み解きと要約

仕様書、図面の付帯資料、作業手順書。「読むのに時間がかかる書類」が大量にある業種では、AIの要約能力がそのまま時間になります。

実務で効くのは次の3つです。

  1. 過去のトラブル記録を読ませて「似た事例はあるか」を探させる(人の記憶に頼っていた部分が形になります)
  2. 英語の技術文書を訳しながら、要点だけ抜く
  3. 作業手順書のたたき台を作らせ、現場が直す(ゼロから書くより速く、抜けも減ります)

水産業(漁業産出額893億円/全国の7.4%)

令和2年の漁業産出額は 893億円で全国の7.4%。生産量251,080トンは全国の6.0%を占め、北海道に次ぐ規模です(長崎県 水産業の概要)。漁業就業者は11,762人(平成30年)です。

最初に任せる仕事:水揚げ・出荷記録の整理と、取引先への案内文

記録を整理して傾向を見る、取引先への案内文や商品紹介を用意する、といった事務作業の時間を減らせます。

加工・直販に取り組んでいる事業者であれば、さらに効きます。ECサイトの商品ページやSNS投稿は、AIで量産できる典型的な仕事です。 これまで「書く人がいないから更新できない」で止まっていた部分が動き出します。

宿泊業・飲食サービス業(6,703事業所/県内2番目)

6,703事業所で県内2番目(11.6%)。令和6年の観光客延べ数は 3,080万人(前年比+2.4%)、観光消費額は4,587億円、延べ宿泊客数は748万人で4年連続の増加です(長崎県 令和6年 長崎県観光統計)。

最初に任せる仕事:多言語対応と、口コミへの返信

この業種でAIの効果が最も分かりやすいのが翻訳です。館内案内、メニュー、予約確認メール。外部に発注していた翻訳が、その場で終わります。

そして、当社が強くおすすめしているのがもう1つあります。口コミを大量に読ませて「何が褒められ、何が指摘されているか」を月次で要約させる使い方です。評価点は数字でしか分かりませんが、この方法なら改善点が言葉で出てきます。 人手が足りず全部の口コミを読めていない施設ほど、効果があります。

建設業(5,503事業所/県内4番目)

5,503事業所で県内4番目(9.5%)。人手不足感の強まりが続く業種のひとつです。

最初に任せる仕事:役所提出書類の文章整形

見積書の内訳づくり、工事写真の整理ルールづくり、安全書類や施工計画書のたたき台作成。特に、役所提出書類の様式に合わせて文章を整える作業は、担当者の残業時間に直結している部分です。ここをAIに任せると、効果が数字で見えます。

離島を含む県内全域が対象です

長崎県のAI活用を考えるうえで、外せない論点がもうひとつあります。離島です。

対馬市・壱岐市・五島市・新上五島町。これらの地域は、人が減る速さも、専門人材の少なさも、県平均よりさらに厳しい条件にあります。県が産業支援制度説明会を県内7か所(佐世保・平戸・新上五島・五島・島原・諫早・長崎)で開き、そこに新上五島と五島を含めているのは、この事情を踏まえたものです。

一方で、生成AIは距離の影響を受けない数少ない道具です。 東京の企業が使っているものと、五島の企業が使えるものは同じです。専門家に来てもらう費用や時間がかかる地域ほど、「今いる人ができることを増やす」打ち手の相対的な価値は上がります。

当社は離島を含む県内21市町すべてを対象としています。講座はオンライン開催が基本で、対面をご希望の場合は長崎県内へ出張します(離島への渡航は日程調整にお時間をいただく場合と、交通費実費のご負担をお願いする場合があります)。まずオンラインで一度お試しいただき、そのうえで対面を決めていただく形でも構いません。

「研修に割く時間がない」への答え

最後に、この記事の主題に立ち返ります。

人手が足りない企業ほど、「学ぶ時間が取れない」とおっしゃいます。これは正しい感覚です。有効求人倍率が62か月連続で1.0倍台という環境で、通常業務を止めて座学を受けるのは、経営判断として簡単ではありません。

だからこそ当社は、講座を**「学ぶための時間」ではなく「いま誰かがやっている作業を減らすための時間」**として設計しています。

具体的には、講座の中で実際の業務をひとつ選んでいただき、その場でAIに置き換えるところまでやります。 終わったときに手元に残るのは知識ではなく、翌日から使える指示文と、短くなった作業です。

  • 形式:3時間(オンライン基本/対面をご希望の場合は長崎県内へ出張)
  • 料金(税込):10名まで165,000円/11〜50名 220,000円/51名以上 275,000円
  • 対象:全社員(パソコン初心者〜中級者)。専門用語はすべて日常の言葉に言い換えます
  • 実績:生成AI研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上

社内に推進役を育てるところまで伴走する AI顧問(週1回90分×6ヶ月・月額33万円/税別) もご用意しています。

なお、講座の受講料には長崎県・長崎市の補助制度が使える可能性があります。制度の要件は別記事で公式ページの内容から整理しています。

まとめ

  • 長崎県の人口は1,232,190人・5年で6.1%減(全国平均は2.5%減)。有効求人倍率は62か月連続で1.0倍台
  • 情報通信業は382事業所しかなく、専門人材を採用で確保する作戦は母数の面で厳しい
  • 残る打ち手は**「仕事の総量を減らす」か「今いる人ができることを増やす」**の2つ。生成AIは両方に効きます
  • 最初に任せるべきは**「毎週発生し、中身が毎回少しずつ違う文章仕事」**。卸売小売なら商品説明文、医療福祉なら記録の整形、造船なら技術文書の要約、宿泊飲食なら多言語対応と口コミ分析
  • 離島を含む県内全域が対象です。 生成AIは距離の影響を受けない、数少ない道具です

※本記事の制度内容は2026年8月26日時点で各公式ページに掲載されていた内容です。要件・金額・期限は変更されることがありますので、申請前に必ず公式ページでご確認ください。当社は補助金の申請代行を行っておりません。

今長 学(いまなが まなぶ)の顔写真

この記事の著者: 今長 学(いまなが まなぶ)

Exist Japan株式会社 代表取締役。経産省認定 経営革新等認定支援機関、大分県中小企業アドバイザー。生成AIビジネス活用研修 受講者累計500名以上、登壇200回以上。中小企業のAI活用とマーケティングを支援。→ プロフィール詳細

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